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斎藤由多加のブログだよ

Yes, mama OK?のメモリアルボックス

9月29日にYes, mama OK?のメモリアルボックスがコロンビアから発売されるそうだ。
なんでそんなことを知っているかというと、ライナーノーツを書いたからである。

一般的にどう思われているかわからないけれど、仕事には二種類ある。やりたい仕事と、気の進まない仕事。ぜひやりたい楽しい仕事というのはたとえギャラが安くても、これほどワクワクすることはない。今回もそれにあたるわけでして、おかげで依頼された文字数の4倍も書いてしまったのであるが、全文掲載されることになったそうで、逆に「感謝」、である。

しかし仕事ってなんでしょうね?他人に報いることができたときの達成感みたいなものではないでしょうか?

そもそも僕はギャラの発生しない仕事というのはあまり好きではない。がんばって納品したものがちゃんと扱われない可能性が高いから。

でも、たとえ5000円でも、ちゃんとギャラがもらえるならば、とても楽しく仕事ができる。どうしてだろう?なんていまさらのように思うことがある。

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六本木のKというバーは、今年で創業50周年にあたるそうだが、初めて行ったのが学生の時代だから、あしかけ23-24年ということになる。

先日数年ぶりにここを訪れたら、当時のクラシックギターが、当時のままおかれていたもんだから、チューニングをして気分よく一人弾き語りをさせてもらっていた。そしたら、突然ドアがあいて一元さんらしき年配のグループが「いいですか?」と入ってきた。

途中でやめるわけにもいかず、店の流しを装って歌い続けていたら、その3人のお客さんは「歌声バーか」などといいながら聞くとはなしに歓談していた。そしてしばらくするとリクエストをしてきたので「しめしめ」と思いながら歌い続けていたらチップが出てきた。

かつては麻布十番でずいぶんとチップをもらってギターを弾いていたけれど、最近ご無沙汰だったので、いい気分だったわけである。

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自分の好きなことが社会に認められるというのは、何歳になってもうれしいものだ。「仕事と素人の遊びは違う」という人もいるでしょうが、ギターを弾いてもらうチップは初任給をはじめて手にしたときのような昔の気持ちをよみがえらせてくれる。

お金をもらって人の要望にこたえるというのは、仕事を通じて社会に参加する、という行為の基本形だ。とても大切なことだと思う。金額の大小はあまり関係ないが、タダだとその手ごたえがよくわからない。

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中途半端なギャラをもらって仕事をするのは、自分の価値を下げるからしないほうがいい、という。僕もプロのプライドをもっているつもりなので、そう思うこともしばしばある。

でもね、やっぱり自分の原点に帰ると、「お金をもらってよろこんでもらう」ということはとても貴重な体験だと思うんだな。大人になって失いかけていた、ちょっとした達成感を味わうことができる。

プロのプライドというのはそういう気持ちを封印しまいがちだけれど、素の自分にもどったように、ちょっと懐かしい匂いがして、何歳になってももっていないなぁと思うのです。