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斎藤由多加のブログだよ

時代のまくらことば

いかした感じに見せたいために、時代々々でかっこいい「まくらことば」というものがある。
たとえば昭和中期は「電気~」だったし、10年位前だと「~ネット」とか「デジタル~」とか「ハイパー~」とか・・。

大正生まれの父が、母が他界し、長年住んだ自宅を取り壊してアパートを建てた。
「弦巻ドットコムって名前にしようと思うんだが、どうだ?」
そんな電話が突然かかってきた。
「インターネットが完備されてないのになんでドットコムなのよ?」
そう尋ねると
「最先端な感じがするだろ?あと入居者がドッと混みそうで、縁起がいいなと思ってね」

時代のまくらことばなんてそんなものである。

そして、昭和50年代半ばくらいに流行っていたのが「新~」というまくらことばだった、かな。
番組名でも「新XXX記」とか会社名でも「新XXX株式会社」とか、そういうのがあちこちにあったと記憶している。
古くからあるものに新とつけると、斬新なものに聞こえた。

この骨董品屋も、そんな時代に創業したのだろう。中国地方をドライブしていて看板を見かけ車を止めて撮影した。

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なんでもかんでも「新」とつければいいというものではないという貴重な事例を教えてくれたのがこの看板である。
あとに続くことばを考えないと、まるで「黄色いモンシロチョウ」みたいな、その意味がちんぷんかんぷんになってしまったのではウリ文句にならないことがあるのだ、ということを教えてくれた。

振り返れば簡単であるが、その時代の真っ只中にいる時には、頭の中にある言葉がただの時代の流行のまくらことばであるのか否かを見極めるのは、容易ではないと思った。