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斎藤由多加のブログだよ

セールスマン的

なにか必要に迫られると、人は唐突に古い知人にも連絡をとるものだ。

「元気だった?」
そう親しげに、そして下手(したて)に出て話す自分は、すでに下心でいっぱいである。大事なものが見えなくなっている。

いつもと変わらぬ日常の中で電話を受けた側はというと、「何だよ、突然に」と心の中でつぶやく。

連絡をした側は、てっとり早く用件を切り出してその反応を確認したい。反応がどちらであるにしても、とっとと次のステップへと進みたい。またふたたび自分からの連絡が途絶えることを心のどこかで感じてはいるが、そんなことはどうでもいいことだ。その時の用件が最優先なのだから。

いつもと変わらぬ日常の中で電話を受けた側は、一方的な打診を「ちょっと確認してみるよ」と生はんかな答えでごまかす。「都合よすぎだよ、おまえ」と心の中では思うけれど、なかなかそうは口には出せないものだ。都合のいい時だけの知人に、すこしは協力したいという気持ちがあるけれど、いやみのひとつもいいたいという気持ちもある。

そのいまひとつの反応に、電話した側は「ちっ、一筋縄ではいかなそうだな」と直感し、あたり差しさわりのない挨拶とともに電話を切る。その5秒後にはそそくさと、次の矛先へとダイアルし始める。すでに頭の中はこの「次の矛先」への期待と下心でいっぱいである。5秒前まで話していた友人との関係はすでに消えている。今後はまめにフォローをしていこうなんて発想は、ない。

電話をうけた側は、電話をきった後に、すこしだけ考える。「ちょっと協力してやるか」と。ししかしそのあと数週間、数ヶ月、知人からはいっこうに連絡がない。「また、これか・・」すこし呆れるが、かといってこちらからわざわざ連絡するべきものではない。怒るべきタイミングを失って、いわば中折れ状態にある。

やがて数年が経過し、忘れた頃に、またその男から都合のよい電話がかかってくる。
「よう、久々!」と。
「いや、あのあと連絡しようしようとは思ってたんだけどね・・・」

こういうのを「セールスマン的」と呼んでいる。
セールスマンは会ってて気持ちがいいが、「セールスマン的」は腹が立つ。
だからセールスマンはモノを売るのがうまいが、「セールスマン的」は、下手だ。
その結果、セールスマンは客を増やすが、「セールスマン的」は客を減らす。

自分もついついそうなりがちだ。
気をつけないと、と思いつつ、古き知人の某、が頭をよぎる。

☆    ☆    ☆

外出からに帰ってきてパソコンをスリープ解除したら、こんなメッセージがでていた。

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慌てたが、よく見るとバッテリーは充分に充電されている。

そうか、この警告メッセージのルーチンは、目的に則したつもりで、ひとつ大事なことを忘れている。バッテリーが充電されたら「警告メッセージフラグを下ろす」というとても大事な連絡を・・・。だから出されたメッセージは放置されっぱなしのままだ。

「すまんすまん、忘れてたわけじゃないんだけど・・・」
このメッセージに数年聞いていない某の声があたまをかすめて、ふと写真を撮った次第である。