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斎藤由多加のブログだよ

メディア芸術祭推薦作品「大玉」

文化庁メディア芸術祭というイベントがある。

僕は、そのエンターテイメント部門の審査委員をやっている。

来週発売される「大玉」は、この賞の推薦作品である。となると、この賞の審査そのものがグレー視される向きがあるように思う。実はこの件にはかねてより思っていたことがあり、いよいよ「大玉」が発売間近になった今、メディア芸術祭事務局の許可を得てすこし触れることにした。

実は「推薦作品」というのは、言い方を変えると、「落選した作品」となる。つまり最終審査の場に上りながら、受賞できなかった作品にあたえられる呼称なのである。だから、この呼称は、胸を張って言うことがすこしはばかられるタイトルともいえる。「なんだよ、結局受賞できなかったん作品だろ?」ってね。

メディア芸術祭の最終審査は、審査員の創意のもとで選出されることになっている。と同時に、自分の関与する作品に対して審査員は票を辞退するという了解になっている。

当日、リストの中に「大玉/任天堂」という名前を発見した時は、正直「大玉よ、良くぞ、ここまであがってきてくれた」という、星飛雄馬を見守る父一徹のような気持ちになった。任天堂がROMリーダーのハードとプレイアブルROMで応募してくれていたのである。

・・・でもね、この作品が、E3のような展示会ではなく、関連省庁の方々がずらりと見守る会場でデモされ、評価と時として手厳しい指摘が交わされ記録されてゆく。それを聞いている気持ちといったら、それはいたたまれないものだ。穴があったら入りたいとはこのこと。

で、そのあとひとつひとつ議論されるわけだか、投票を辞退するわけだから、おのずと「総意」でなくなる。結果として受賞対象から落ちていったという次第である。

正直いうと、クリエーターとしては無念である。でもね、自分は中立の審査員としてこの場に呼ばれているわけで、もし応募者として受賞する自信があれば、作品を発表する年には最初から審査員を辞退すればいいだけの話なのだ。そう考えると、去年の僕はその自信がなかったということだろうね。

今年の授賞イベントは、前年にも増して参加者が多く、そして晴れやかだった。

「よおし、だったら堂々と、この『推薦作品』を謳歌しようじゃないか」、となりパッケージに入れることになった。

ということで「大玉」は、文化庁メディア芸術祭「推薦作品」である。

私はそれをとても誇りに思っている。