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斎藤由多加のブログだよ

心の落し物

モノをなくすと、なぜだかすごく自分が嫌いになる。
「なにやってんだよ」ってね。

中学二年のときは、新宿のディスクユニオンやディスクロードに海賊版LPを買いに行ったものだ。KISSやらQueenやら、と。

ある日、試験の帰り道だったと思うが、定期のはいった学生証がなくなっていることに気付いた。今の時代と違って、学生証をなくしたところで、これといった被害があるわけではないがそれでもいやな気持ちになった。

その翌日に、たまたま自宅の電話をとったら、"モダンアート"と名乗る謎めいた男性から、劇場内に置き去られた学生証を預かっているという連絡。(この"モダンアート"という謎の名前はいまでも忘れない)

さっそくいってみると、そこはストリップ劇場だった。おそらく拾った誰かがいたずらでこの劇場の席に置いてくれたのだろう。清潔とはいえない受付で学生証の入った定期入れを受け取り、とぼとぼと新宿駅まで歩いた。禁断の大人の世界に触れてしまったような、なんだか得体の知れない恐怖心でいっぱいだった。

これが、はじめて僕がストリップ劇場にいったときの思い出である。

二度目に訪れたのは、大学三年のときである。飲んだ勢いで同級生Kと池袋の名も知らぬ劇場にいった。じゃんけんで勝つと、ステージに上がって踊り子さんといろいろできるという噂を確かめに行ったのだが、真実のほどはよくわからないまま出てきた。このときも、なんとも切ないみじめな気持ちになった。

僕がストリップ劇場内に入ったのは、このときが最初で最後である。

北野武じゃないけれど、ストリップ劇場というのは独特の下町情緒がある、という話を聞く。駆け出し芸人の青春ドラマなどでは、ラメの上着を着たストリップ芸人のシーンなんかが登場するけれど、実のところ、どうもこの手の雰囲気は好きになれない。

もしかしたら、中学二年のときの、この体験が、とらうまのように僕の記憶に焼きついているのかもしれない。

30年が経過してもこれだけ覚えているのだから、幼少体験というのはそれくらい人生での影響力があるのだと思う。

そのせいか、免許証の類をなくすと、とても不安になる癖が付いてしまった。あとでとんでもないことが待ち受けているんじゃないか、とね。

モノをなくしたときの僕は、とても小心者だ。