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斎藤由多加のブログだよ

デジタル・・・か。

万年筆をつかっている人いますか?

僕は、4-5年ほど前に万年筆が突然ほしくなって伊東屋に買いに行き、店頭であちこち書きちらかした末に、ウォーターマンリエゾンを買った。

それ以来、買っては失くし、買いなおしてはまた紛失し、を繰り返して現在に至っているわけだが、大枚を費やしてきた挙句にひとつだけいいことがおきている。それは、いつでも懐に常にペンを忍ばせているという自分がいることだ。

宿題のある日は、ノートPCなんかもっていなくても思いついたら手近な喫茶店に入ってペンと手帳で案をあれこれ書いてみる・・・。公文書用に作られたという淡いモンブランの黒インクで白いページがいい感じに埋まってゆく。

で、ここ数日、地味にゲーム原稿の「赤入れ」なるものをシコシコとやっているのであるが、その分量がなんとも多い。デジタルデータでこなすと履歴がわからなくなってしまうので、そしてなんといってもキーボードだと使う脳みそが左脳に片寄ってしまうので、手で紙上へする赤入れが一番具合がいい。今日もさきほどまで自室でしこしこ作業をやっていたところ。

地味で退屈になることへの対策として、10ページをこなすたびに、自分のペンをとっかえて次の作業へのモチベーションとする。

で、ペンがかわると、インクのタッチといい、ペンの滑りといい、雰囲気ががらりと変わるのである。カートリッジインクの消費もバカにならないから、インクボトルからの吸引式に切り替えた。まさにシコシコの手作業なのである。

前にも書いたが、企画の仕事をするにしても、あるいは作家が小説の新作を練るにしても、ペンとノートで自分の脳に立ち向かうというのは、最近失われている質感表現への有効な手法だと思うのである。

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ま、かつてはデジタルグッズにたいそうなお金をつぎ込んできた僕だが、その末に行き着いたのが万年筆とは・・・なんとも自分の変化に呆れている次第だ。

このブログを読んでいる人の年齢層にもよるだろうけど、時々万年筆を使うことをお勧めしたい。ヘミングウェアが愛用したというモレスキンの手帳に、モンブランのこれまたヘミングウェイモデルあたりで、アイデアを書き留める・・・・なんか植草甚一さんみたいだけれどね。書かれたモノそのものがアートに近づいているようで、なかなか、よいぞ。

最近、PCのフォントとPowerPointの企画書にうんざりしている人、いたりしませんか?
もっともっと自分の違う側面を引き出したい、なんて漠然と思っている人いませんか?
そんな人にはお勧めなのである。

余談だが、今年後半の僕の目標は、ライカをもってキューバに行くこと。そしてチベットにもいくこと。大型バイクの免許をとってTriumphに乗ること。ギブソンのオールドを買うこと。そんでもって自分の凝り固まった頭脳をリセットすること・・・。

これらぜんぶいわゆる「オヤジ志向」なのであるが、デジタルに対する姿勢がすこしづつ変化しているのは、年齢的な変化だけではないような気がする。

サンプラー素材で創られた音楽と、スタバのコーヒーと、GAPのシャツと、同じフォントでつづられたネット情報と・・・どこにいってもそんな環境ばかりの東京で毎日過ごしているうちに、自分がある種の慢性病にかかっている気がしてきてならない・・・。