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斎藤由多加のブログだよ

突然なる依頼

以前にここで、「態度」とはどんな度合いのことだろう、という話を書いたけど、つい最近、この手の「度合い」めいたことについて、またまたあたらしい経験をしたのでご紹介する。皆さんの意見も聞きたいし。

先週はどういうわけかゲームとは無関係の取材が多い週だった。
新聞社系の某週刊誌記者が訪問してきた際、冒頭で一枚の名刺を私に差し出した。
それは、その日その記者が同じ目的で取材していた国会議員の人のものだった。
この議員は、中学高校、そしてかつて在籍していた企業でも後輩だった人物である。個人的に親しいという関係ではないので、ずいぶんと長い間話した記憶がない。
「お願いしたいことがあるのでメールをくれ」といった内容の走り書きがそこには走り書きされていた。

「お願いしたいことがあるからメールをくれ・・・か・・。後輩なのにずいぶんとあつかましいメッセージだなぁ」
伝言役を果たしてくれた記者さんに、愚痴をこぼすと相手もバツが悪そうに苦笑いをしていた。

とはいうもののどんなお願いかわからない。そのまま無視するのもどうかと思い、簡単なあいさつ文をしたため名刺のアドレスに送っておいた。

すると、しばらくして、「パーティー券を買ってもらえないか。売れ残った場合は自腹で云々・・・ノルマがきつく云々」といった文面のメールが届いていた。
十年以上ぶりの相手に出すメールにしては、私がどの政党を支持するか、を確認することもなく、仕事の近況をたずねることもなく、また忙しい中で書いたのか、社交辞令的なことも、とくに書いてない。最低限の時間だけで自分の必要としていることだけが書かれたメールであった。

実は数年前に彼から援護金以来のDMが届いたことがあって、いい経験だと思って会社で小額だが献金(っていうのかな?)をしたことがある。
政治的な施策への思いからではない。縁故知人としてのものであるから、彼からどんな返事が返ってくるかなと、経理部スタッフともども楽しみに待ってたのだが、結局何もないままだった。こんなものか、ということになり、じゃ献金などは二度とやめておこうとなった。

私が以前にいた大企業というのは、個人個人のノルマがきつく、強引ともいえる営業スタイルで批判をされてきた企業である。営業マンは、メリットがありそうなクライアントが見つかると、徹底的に喰らいつき、うまみがないとなると、効率を重視してそそくさと次の顧客探しに移ることを徹底して教育される。毎日のように連絡をしてきた営業マンが、発注書に捺印したとたん疎遠になることにクライアントから多くの苦情が寄せられていたが、営業マン本人たちは社内の受注競争に夢中で、ヒーローにならんと目が中に向いてしまっている。
目が外に向き懇切丁寧に顧客をフォローする営業マンは、新規受注効率が伸び悩み、社内では評価されないことになる。

退職してもこういうスタイルのまま自己中心的にやっているこの会社のOBを何人も知っていて、どこの業界に行っても「唐突に電話がかかってきたかと思うと、虫のいい話を突然はじめる・・」という愚痴が後を絶たなかった。じゃ、自分はどれだけできているか、となるとなかなかできていないんだけどさ。(笑)

中小や零細企業でも、きっちりしている人というのはいるもので、こまめに挨拶状を送ってきたり、歳暮や中元や、どこでききつけたのか引っ越し祝いなどをおくってくる。こういう会社の経営者から依頼ごとがあると、なんとか力になりたいと思うものである。

いつか困ったらお世話になりたい人というのがいる。そういう人とは、意識せずとも連絡が滞らないものである。人はいざ困ったときのために日常の挨拶を欠かさないようにしているのかもしれないが、年配の人ほど経験柄それを知っている。だから年配の人ほど挨拶はしっかりとしている。そして僕は40代の半ばに差し掛かった。だからこういうことに気づいてしまう。
そんな経験からいうと、困ったときに唐突に連絡をとっても、まったくの無駄である。そんな関係で、人はぜったいに助けてくれないから連絡なんか取らないほうがいい。

もしどうしても連絡をするならば、なるだけ面倒くさい手がいいと思う。郵便のようにアナログで手がかかる方法であれはあるほど、受け手の印象がちがうものだ。

だから、僕は今回この後輩によい経験をさせてもらったと思っている。当たり前のことだけど、忘れてしまいがちなことだから。

さて、この国会議員の話に戻ると、僕は、この後輩に、「虫が良すぎないか!?」と手厳しい内容のメールを返すべきか、あるいはあたりさわりのない形で遠まわしに断るか、はたまた、こんなことを考えている僕がただの頑固オヤジなのか・・・判断しあぐねている。