YOOT.COM

斎藤由多加のブログだよ

サムライことばみたい

自分はやがてはハリウッドで仕事をすることになる、と信じていた学生だったから、英語だけは勉強していた。

タイプライターを買ったのもそんな憧れからだった。プラザー製の中古品で、近所の「売ります買います」欄で見つけたものだった。買ったのが高校生のときか大学に入ってからかは覚えていないが、このタイプライターはいまでも大切にもっている。

おそらくは同級生のだれよりも早くQwerty配列のキーボードをマスターしていた僕は、しかしすでにマックを買った時には"カナうち"になっていた。

なぜカナ入力にしたのか、には理由がある。
キータイプのスピードを可能な限り早めたかったからだ。それ以来ずっとカナ打ちである。

深夜のテレビ番組で、キー入力の速さで圧勝したことがあった。ローマ字だと2文字打たなければならないものが、カナだと一回で済むので簡単に考えてもローマ字打ちの人の二倍のスピードがでることになる。
このおかげで僕は文章を書くのが早い。タイプが速い、という意味ではなく、頭の中でなっていることばが、手が探すキー文字と一致していると、音楽のようにすらすらと文章が書けるのである。余計には滞らない。偶然の産物ではなく、これも努力して習得した技だと思っている。

そういう僕が使うPCはすべて「カナ入力モード」になっているから、誰か別の人物が使用した形跡はすぐにわかる。ローマ字入力から戻していないからである。
逆もまた真なりで、会議室で僕がもちこんだPCを誰かが使おうとすると、「ありゃりゃ」とおもむろにいやな顔をされる。

僕は会社で最年長なもんだから、若い人間たちは、前世代の人を見るような目で「カナ入力だよ・・」と僕仕様を思っているに違いない。カナ打ちというと、みね打ちみたいに、まるでおサムライさんみたいな響きがあるし・・。

しかし、勘違いしてもらっては困るのである。カナ入力の人は、当然のことながらローマ字入力もできるのである。でないと英数字が打てない。

しかし、そんな僕にも悩みがある。
メッセンジャーなどでチャットしていて、
「ありがとうございます。」
と打ちたいところを
「ありがとうございまする」
とミスタイプしてしまうことがあるのである。
スピードが速いので、気がついたときには送信されているから、相手は、ギャグでやっていると見ているに違いない。

しかし、真実をいうと、カナ入力での「。」は「る」と同じキーに割り当てられていて、シフトで切り替えるようになっている。左手小指のシフトアップのタイミングが「。」のキーに間に合わないと、そのまま「る」となって送信されてしまうのである。

このミスのやっかいなところは。「です」とか「ます」という敬語文がすべて「でする」「まする」などと、中途半端に意味が通ることばになってしまうことだ。しかも丁寧語を使うべき相手に対して。

「おまえはおサムライさんか!」
なんて叱られそうなケースが過去にも多々あったが、
「灰、わかりました」
よりかは、高度なミスではないかと、すこし自負しているところもある。