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斎藤由多加のブログだよ

昭和の決着

ただの日記

野坂昭如が祝辞を読み上げたとたん、祝されていた大島渚を舞台の上でいきなり殴る、という映像が十数年という時間を経過してもなお、放映される。いわゆる「著名人同士の喧嘩」といったテーマでは必ず流れる定番の映像。
大島氏の横にいた奥方の小山明子女史は、動揺するそぶりもなく、ただ子供をあやすように老年ふたりの喧嘩をとめる・・そんな光景が映し出されているのである。この二人に何があったのかは推するに余りある。ただ、深い絆があったのだろうなくらいのことは誰が見てもわかる。

今日S君とランチをしていて、「そういうオヤジ同士の関係はステキだ」という話になった。「そういうわかりやすい関係の方が周囲の者としては気持ちがいいなぁ」なんて話。

最近飲み屋で、「よし表に出ろ!!」なんていうセリフは聞かれない。聞こえるのは「訴えるぞ」である。暴力追放、なんて言葉があるけれど、暴力行為を排するがあまり、合法でありながらより不健全でより陰湿な報復の押収がはじまる・・身体は壊れないけど精神が壊れてくる・・・これっていいことなにのかしらね?と思うようなことあちらこちらでおき始めてる。

実はこういう話ってのは、飲み屋の専売特許ではなくて、教室でも、職場でも、マンションの隣人関係でも起きていることではないか? 「はっきりいうとトラブルになるから言わない、でも気がすまないし、なんとか報復してやりたい」と。そして人は陰険な手段を講じる、そんな時代ではないだろうか。

沢田研二のバックバンドで知られるドラマーの村上"ポン太"秀一氏がテレビ番組でこう語っていたことがある。
「そういうむしゃくしゃするときは、歌舞町あたりでヤクザに喧嘩を売る。相手はプロだから素人を相手に決して殺そうとはしない。ボコボコにやられるけど、気持ちがいい。素人はカッとなると殺そうと武器をつかってくるけど、プロは喧嘩がうまいんだ。それでちくしょうという気持ちで自分は生き返るんだ。」と。

これはかなり危険な解決策だけれど、互いに二-三発殴り合って、切れた唇と折れた歯の痛みをかみ締めながら、自分のさまを確認する・・ほら、青春ドラマにあったような「男同士」って、あるいは下町のべらんめぇな歯切れのよさって、実は世の中から追放しすぎてはいけないものだったのではないだろうかね・・・そんな気がするのである。

すくなくとも僕はうらやましい、こういう、はっきりした時代がね。

複雑な現代の人間関係から見るとね。

追伸

目に直接パンチ喰らうと網膜はく離で失明するからそれだけは気をつけましょう!!  と、失明しかけたM君がすごく昔にいっていた。