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斎藤由多加のブログだよ

工業製品の個体差

FREITAGブランド製品の面白いところは、リサイクルの幌を生地につかっているせいで、一つひとつすべてが異なるデザインであること。

いまさらというこの時期に、またひとつ買ってしまったのも、某バイクショップで「いい感じの個体」を見つけてしまったから。この「いい感じの個体」というのが、デザイナーものとちがいすべて偶然の産物という意味であり、なんというか、見つけてしまった者としてはスルーできないわけです。

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同じ規格モデルの色違い・・・・これはいままでの工業製品的な見方では「同等」とされてきたけれど、実のところまったく異質のものとして捉えないと説明ができない・・・それは気のせいとか気分ではなく、実際のところ、そう思えてならないのである。

たとえばポルシェ911(964あたり)の黒と、ルビーストンレッド(写真)。
この二色種が走る際の質感的な違いは速度に換算して最大時速15kmほどの違いとなって見るものの脳裏に映る・・・とこれは冗談だけれど、つまりどうしても同じ製品とは見えない・・・僕にはまるで違う車に思えてならないのである。

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一般の人は、ギブソンレスポール・ギターのビンテージものの価値は、杢目で決まることをご存知だろうか?
つまり美しいトラ杢のメープルトップをもつものはずばぬけて値が高いのである。
ハイパーギターズのサイトでも、レスポールのオールドは、ゴールドトップはどうしても値が安くサンバースト系は高いのもそのせいである。

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これは古いものに限った話ではなく、たとえば昨年(07年)は、チリ産のハードメープル(=稀少樹木)で作られた59年レスポールが製作されたことで有名な年だった。日本の楽器屋のバイヤーたちはギブソンUSAのファクトリーまで買い付けに行ったわけだが、その中でも杢目が美しいものには70万を超える高値をつけ、そしていまもお茶の水の楽器店に個別に飾られている。あたかもまぐろと築地の関係のようである。

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モノには共通の規格(機能)と、そして個体別の美観がある。

マス生産の時代においては、同規格のものはおなじ価値、そして「色違い」は同等と片付けられてきた。だけど、人間というのは美的感性を無視することができない動物であって、結果素的には無意識のうちにその違いを察知し、選択し、人気という形で世の中に答えを出す。

この質的違いを、数式世界では、「ちょっとした人気の違い」程度としか捉えていないけれど、いやな色の商品はぜったいにいやだし、すきな色はどうしてもほしいという人間の本能は変えられない。

同一機種のレスポールの価値に「それぞれの美観」の比重が大きく加わっている現象を、バカバカしいと一言かたづけてしまうのは、大量生産の時代の貧困な発想ように思える・・あるいは物体をともなわないデジタル時代の亡者もそこに含まれるのかもしれない。

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そしてFREITAGの話にもどるけど、彼らは「廃品利用」という一見資源保護的な背景を利用しているようで、実は廃品の特性を応用してギブソンの樹木が果たしてきたような個体差という魅力を工業製品にもちこんだ、という点で、とてもおもしろいブランドだと思う。