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斎藤由多加のブログだよ

花の肉マサ

ただの日記

何年も前の話になるが、六本木のニューハーフパブで働くKちゃんというおかまに、将来の夢について聞いたことがある。

「お金がたまったら、なにをしたいの?」
すると、女性ホルモンの副作用せいと思われる、ややタブついた身体に波打たせKちゃんは身を乗り出すと、小声でこう答えた。
「わたし、自分の花屋を持ちたいの!」
「花屋!? なんで自分で持ちたいのさ? 花が好きなんだったら、バイトでもいいじゃない?」
「だって、おかまって子供産めないから、いつ捨てられるかわかんないじゃない。だから自分でしっかりとした食いぶちをもっておきたいのよ。」

なるほどね。性転換手術のためにお金をためる同業者が多い中、Kちゃんは創業資金のためにここで働いているわけか。

しばらくしてKちゃんはこう返してきた。
「ねぇ、斎藤さん、お店の名前考えてくれない」
「店の名前? どんなイメージの花屋にしたいの?」
「えーと、お客さんがどんどんと花を買いに来てくれて、全国に何店舗もチェーンで広がるようなそんな店」

・・全国チェーンの花屋? 僕はちょっと意表を突かれた。単なる女の子のかわいさへの憧憬かと思っていたら、そこには男っぽいたくましさもあるわけだ。Kちゃんの将来の夢への語り口を聞きながら、ふとぼくの脳裏をよぎったのは当時急成長中の「肉のハナマサ」だった。

「よし、"花の肉マサ"ってのはどうだ?」
ほぐは思い切って提案してみた。すると
「・・・・なによ、その肉マサってのは!?」
そういいながら、Kちゃんの表情がにわかに曇りはじめた。
僕は、彼女のその返しにおもわず吹き出してしまった。
「いや、深い意味はないけど、Kちゃんらしくていいかとおもって・・」
「ちょっと斎藤さん、私のことバカにしてるでしょ」
「いやいや決してそういうわけじゃないんだけど・・・」

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僕はいまだに、この「花のニクマサ」というちっょと意味不明のネーミングの響きがすごくいいと思っている。むろん、その社長はKちゃんをおいてほかにいないわけで、彼女(?)を筆頭に、その会社は花を贈る文化を日本中に布教するベンチャーであってほしいのである。さらに欲をいえば、「ソロモンのなんとか」、みたいな社長を密着取材する系のテレビ番組に登場してくれないかな、なんてことも。

彼女のキャラをもってすれば、花はもっと身近な日常品となれるにちがいない、と思うし、そのためのけっこういいネーミングとも思っている。

いまどこにいるのかもうわからないけれど、Kちゃんがこのブログを読んでくれているといいいな・・・。