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斎藤由多加のブログだよ

マーケット連動型の作品

20世紀少年のパート2をDVDで見ました。
映画の新しいビジネスモデルなんですかね、この「あくまで結末へのつなぎです」といった「三部作品の第二部」が単体作品としてリリースされることが多いのは・・。
古くはバック・トゥー・ザ・フューチャーがそうだっけど、最近はバイレーツ・オブ・カリビアン、そして日本映画だとこの20世紀少年。第二部を第三部の一部として見るならいいのですが、単体作品として映画館に足を運んだ観客はどんな感覚で席を立つことになるんだろ? 脚本は浦沢氏とタッグを組んでいる長崎氏(もともとスピリッツの編集長)が自ら手がけているわけですが、この三部作という企画は作者としての本当の意思なのだろうか?それとも、配給側の意図なのだろうか?なんてことを考えながら見てしまったのであります。
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最近、書籍だとディアゴ・スティーニ・モデルってのがありまして(これは書籍というのだろうか?)、第一巻の売れ行きでそれ以降の部材仕入れを絞ってゆくそうです。なもんだから、第一巻は利益度外視の廉価で販売し、そのパイを広げる、って作戦。要するに、第一巻は、単体作品というよりも、内容のあるPR用チラシ、ないしは24やロストの第一話、ないしは、ひげ剃りの「柄」にあたる部分、ないしはユーザー争奪期の携帯電話機、つまり誘導用なのであります。
このモデルが普及していくと、そのうちに、「第一巻がからっきし売れなかったので途中廃盤します」ってのもありえるんでしょうかね。いや、もしかしたらすでにそういう例はあるんでしょうか? だとしたら途中まで買っていた人はつらいでしょうね、ガウディーならいいけど「安土桃山城が未完のまま完結」とかだとクレームだけじゃすまなそうです。
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連載ものを、部数による反応をみながら、内容的にも過不足なく完結させる事って、たぶんとても難しい技です。編集長の手腕のみせどころなんでしょうね。たしかに、かつて、隔週のメジャーな雑誌で4Pの連載をしていたことがありますが、編集長が当時著者である僕に、週ごとに出していた指示を思い返すことがあります。「こういうことか」といまにして謎がとける事が最近多いのであります。
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評判がいいので、予定よりも無理矢理ストーリーを引き延ばしている連続ものってのも、視聴者・読者は気付くものです。そしてその逆、つまり、途中でまとめに入っているのも同様。デビット・リンチがプロデュースの「ツインピークス」あたりも途中の混迷と後半の強引なまとめ具合がそんな感じだったし、テレビ版「エバンゲリオン」も、似たような匂いがぷんぷんした。テレビってのはそもそも視聴率連動ですから、テレビ版「宇宙戦艦ヤマト」みたいに、イスカンダルにきっちりと到着するように作り方ってのは、実はとてもむずかしいことなのかもしれない。
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連休中にビックカメラにいったら、マックの画面でWindows7のPR用DVDがプレイされていました。ウソのような本当の話しですが、店頭デモ機を納入したアップルは、マックの動画性能をWindows7DVDでアピールすることまでは予想してしなかったでしょう。マイクロソフトも同様にちがいない。マーケットに連動するというと聞こえはいいが、そもそもの制作意図を離れはじめるということは、ちぐはぐになってしまうリスクがあるということなのかもしりない。

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作家が、膨大なエネルギーをかけて制作した作品も、それぞれの思惑を持つたくさんの人の手を介しているうちに、二転三転し、ようやく放映したら打ち切り、なんて事例は山ほどあるのでしょう。
「男と女」というフランス映画(カンヌやアカデミーで多数受賞/1966年)のDVDの中に、当時駆け出しのクロード・ルルーシュ(監督・プロザュー サー)のインタビューがあって、「この作品がヒットしたから自分がいまいる。もしプロザューサーを兼ねて居なかったら、作品をここまでつくり続けられな かっただろう」と話していました。これが果たしてどういう意味を持つのか、市場に合わせて、なのか、あるいは、市場に左右されず、という意味なのか、創作 に関わる第三者としては推して余あるものがあります・・。