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斎藤由多加のブログだよ

日本人のモンスター化

ただの日記

ここ数年で出現したモンスター・ペアレントとは、学校や教師になんでもかんでも大クレームをつけてまわっている巨大化した保護者の別称。このモンスターの存在に、教師を志す人材は絶滅の危機に瀕しているそうな。その結果、学校教育のレベルは低下するという悪循環に陥りつつある。

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「電子レンジにいれてネコを加熱したらそのネコが死んだ」と、裁判を起こしたアメリカ人がいるニュースに日本人が驚いたのは十数年前のことだ。「そんなクレージーな国なのか?」 「そんなのでいちいち裁判起こされたらメーカーもたまったもんじゃない」と日本人誰もが異口同音に言ったものだ。

でもあれからわずか十数年、ふと周囲を見回すと、最近の日本はなにかがおかしい。こちらの国民も「モンスター化」が進みすぎている。このままいくと、人にサービスをする職種を希望する人材はいなくなっちゃんじゃないだろうか?という気さえする。

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橋本大阪府知事が学生と対話した映像が先週はあちこちで流されていた。「GDPってなんですか?」と(やや開き直った口調で)聞く女子中学生に知事は「知らなきゃ自分でしらべろ!」とつっぱねた。「これからは自己責任の時代だ」とそのあとに付け加えた。

橋本知事っていうのは、いい意味でも悪い意味でも、昭和のおっさん的価値観の人なんだろうな。たしか、御子息が6人とか7人とかいると聞いたが、そういう家族づくりも昔の日本の父親の価値観のあらわれに見える。体罰を許容するともとれる発言も、その根底には昭和の家長の哲学が根ざしているのだろうね。ちなみに僕は、そういう時代の価値観をいまさらのようにいとおしく思う。

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さてこの「自己責任」という言葉、サービス度が上がりすぎた現代社会の市民が確実に失いつつある、とても大事なことではないだろうか?

「こっちは客なんだ。弱者の一般消費者にそんな口きいていいのか?」
このセリフに切り返す切り札の一言をサービス提供者は持ちあわせていない。
「それはあなたの自己責任ですよ」などと言い返そうものなら、ネットや週刊誌やテレビでその企業は袋叩きにされるから、オブラートで包んだようなセリフをマニュアルどおりに繰り返すしかない。

医者を選ぶのも、学校を選ぶのも、病気を治すのも、地域に貢献するのも、水に落っことした携帯電話を買い替えるのも、電子レンジにネコをいれるのも、本来すべて自己責任じゃなかったか? 
ここに「消費者の権利」が転じて「クレームは入れた者勝ち」という認識が広まってしまうと、最後は僕たちに跳ね返ってくる。モンスタークレーマーへ対応する企業のコスト負担は、すべて価格や税金となって僕たちの家計を圧迫してくるんだから。

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「自分がいちばんかわいい」
そういう意識を過度にあおってしまったのはメディアの功罪に思える。核家族化と利己主義の末に出現とした市民のモンスター化は、経済が崩壊した100年後から今を振り返ったときに「市場経済主義崩壊の直前期における顕著な特徴」なんて皮肉な表現とされているような気がする。