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斎藤由多加のブログだよ

発見機

「あなたの好きな日本の言葉はなんですか?」というレポーターの質問に、その外国人男性は「私のすきな日本の言葉は・・」とカタコトでいいながら、「新幹線」と漢字で書いたボードをカメラに向けた。ぼーとテレビをみていた僕だが、このリアクションにはずっこけた。

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でも僕も、実は新幹線が大好きである。
といっても新幹線移動の空間が好きという意味。景色が変わるし、適度なゆれが気持ちいいし、なぜかタバコもすえるし(喫煙者)、空いてるし(平日)、電話がかかってこないし、とにかくいろいろとアイデアを思いつく空間である。すきな弁当と本を買ってここに乗り込む瞬間がとてもいい。

この快適空間に乗り込むのに、ちょっとしたイニシエーションがある。
それは当日チケットを購入する自動券売機でなんだけど、手続きがおわると無機質な女性の声で 「発見しています・・・・発見しています・・・・発見しています・・・・・」と繰り返される。この「発見しています・・・・」という声が、僕を暗示にかけてくれるようで、なかなかいい。実は「発券しています」という意味だろうが、盛り上がっている僕には「発見しています」と聞こえるのである。

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実際のところ、乗り物ではいちいち些細な発見が多い。
たとえば、新幹線の座席はすべて同じ方向(前方)を向いていて、何の不思議も感じずに僕はそこに着席していた。
とろこが座席表をみているうちに、へんなことに気づいた・・・・実は新幹線の車両はUターンができない。車両は納入されてからというものずっと同じ向きで往復しているわけだ。

つまり、客席は折り返し駅で作業者が毎回座席の向きを変更していることになる。ということは、全席後ろ向きに設定した新幹線というのも(リクエスト次第では)十分あり得るわけで、景色が前へと流れてゆく空間は、これはこれでけっこう酔うだろうが、その体験はかなりそそられるぞ、と思うわけ。

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実はアメリカで国内線飛行機には、最前列がなぜか「後ろ向き座席」になっているものがある。通常の「前向き座席」では気づくことが少ないが、離陸上昇時の飛行機の機体はかなりの上向きになる。最前列の後ろ向き座席に乗ると、シートベルトに下腹部を支えられる形で、全乗客の顔と、機内全体を高所から見下ろす格好になるわけで、これがかなりの恐怖だ。後楽園の海賊船アトラクションに似ている。

遊園地のアトラクションと旅客機ではどちらが安全なのか、いまの時代よくわからないけれど、この「後ろ向き席つき旅客機」にあたった人はけっこうなスリルを味うことができる。

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と、ま、どうでもいいことなんだけど、新幹線チケットを買うときに「発見しています・・・」と暗示にかけられていると、新幹線に乗ることが、ちょっとしたアトラクションに思えて楽しいのである。