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斎藤由多加のブログだよ

iPadの第一印象

お気に入りの一品

昨日iPadを触らせてもらう機会が偶然あって、うれしいかぎり。F川さん、ありがとうございました。

描画がずいぶんと、速いぞ、ってのが第一印象。
液晶のコントラストも高く(薄暗いところで見たせいも多分にあると思いますが)、グラフィック性能もなかなか高い。ゲームデベロッパーにとっては、できの悪くない携帯ゲーム機、といえるかもしれません。いや、もっと大げさにいうならば、これからゲームってのは、お茶の間のテレビでプレイするものではなくなると思うのではないでしょうか。開発者たちは、とはいえコンソールマシンのようにリソースを独占できる環境ではないぶん、パフォーマンスを引き出すのに苦労するかもしれませんけどね。

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以前にこちらのプログで、アップルはタブレットマックをとうぶん出さないのではないか、という発言をしました。ですが、iPadをみて直感したことを正直に話すと、タブレット式マックは、十分あるかもしれません。その意見を撤回するくらいのインパクトと感じることができたからです。もうすこし具体的にいいますと、「指による操作」という文法が、25年間続いたマウスオーペレーションから脱却し、あたらしいコンピューティングを実現するひとつのカギになる、くらいのパワーを感じたからです。

僕は、タブレット型のPCが好きで、いままでNECの薄型WindowsXPモデルを愛用してきました。タブレットの直感的な操作については過去ログを参照していただくとして、ただiPadとの大きな違いは、ペンを使用するという点でした。

WindowsのTabletEditionの操作系で僕が気に入っていたのは、ペン操作=紙とペンの模倣、という点でした。

アップルが開発した、ジェスチャーコマンドやマルチポイント式のインターフェイスは、ですが、同じタブレットといっても、「指先の感覚」を重視ししたものです。ペンの操作感とはまるで違う。マニュピレートという英語がありますが、iPadの印象はまさに「情報をつかんで変化させる」という言葉に近いインターフェイス感なのです。これは、写真やビデオで見てもわからない、iPhoneよりもはるかに大きな実際にさわってみないとわからないものがあります。

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直感的、という言葉が情報デザインの世界ではよく使われますけれど、実は、直感ってのはかなりの詭弁だと思っています。「情報を直感で操作するってどういうことだかいってごらん」と逆質問されて答えられるデザイナーはゲーム業界ではごくわずかです。だって、そもそも情報なんてものは、重さも形も無い物ですから、元来とらえどころがないものなのですから。

それを、各メーカーの味付けとして何か実在するものににひも付けして、たとえばそれは「デスクトップ」だったり、「書類アイコン」だったりするわけですけれど、そのメタファー文法を学んでもらった上での「直感」と名乗っているに過ぎないからです。

たとえば、画面内の人間を動かすゲームがあるとします。その操作を「直感的なものにしたい」、というセリフはあちこちでよく耳にするのですけど、じゃそもそも「人間を動かす」という行為の直感性ってなんだ?となる。これが現実ではどれだけ難しいことかは、誰しもんが苦労しているわけで本来そこに直感などという操作はありえない。

ま、上はひとつの例ですが、いま私たちが雑作無く操作しているアイコンやマウスによるオペレーションは、25年という長い歴史の中で「直感ぽい」という市民権を得た、ひとつの解釈にすぎないものなのです。

Gaboi

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既存のゲームをタッチ式に直すのはたやすいようで、実はこのあたりの「ややこしさ」に直面することになります。たとえばエクセルをイメージてください。複数のセルを連続して選択する、という操作ひとつとっても、あるいはすでに選択したセルに、異なるセルを参照させる、という操作も、タッチ操作ではこの上なくへんてこな操作にならざるをえない。マウスの直感製とは、タッチの直感製とはまったく異なる文法として確立されているわけ。

それほどに異なる操作環境を、「アッブルがいたずらに機種を対応させるとはおもえない」みたいなことを書いたのが、以前のブログでした。しかし、そこまでの教育投資をしてまでやる価値があるぞ、という感触を、はじめてさわったiPadの形状、操作性、に感じたいう次第です。

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アップルの増収増益のニュースが日本の新聞にも今日、あたりまえのように掲載されていました。ジョブスはいま、やりたいことを何でもできる立場にいる人ではないかと思います。そんな彼が、次はどんな発明品を私たちの前につきつけてくるのか? それが楽しみでなりません。