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斎藤由多加のブログだよ

子どもたちの時代の結婚披露宴とiPadとかクラウドの関係

昨日はiPadの日本での発売日。たくさんのiPadがこの数時間で日本に出現したわけです。

このiPad、画面が大きいせいで、「お、パソコンいらないじゃん」と思う人も多々いるのではないでしょうか。

仕事の関係で、一ヶ月ほど先行して僕もiPadをさわって、そして昨日社員にそれを貸すことになりました。その際に改めて驚いてしまったことがあります。通常パソコンを人に渡す時はハードディスクをきれいにして、つまり「初期化」して渡すのが慣例です。必要なデータはすべてバックアップする。ところが、このiPadでは何もする事がない。ただ「リセットする」だけ。ローカルにバックアップするデータをひとつも持っていないことにあらためて気付かされたわけ。

ツイッターで知人が「自分の所有物としての愛着がわかない」とつぶやいてました。たしかに本質は手元にはなにもない。自分自身はどこにあるのか、といえば、サーバー上の、自分のアカウントの中でして、iPadはそのエイリアスみたいなもの。ネットカフェのパソコンのようなものなのですね。それがクラウドです。

iPhoneを紛失した時に、その中のデータを遠隔で消去するサービスがあります(MobileMe)。消去しても、いたくもかゆくもないのは、その本質は携帯の中にはないから・・・それがクラウド

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サーバーの上に自分自身の情報をどんどんと蓄積して、「端末」がどうなっても大丈夫、というのは銀行預金とおなじ構造です。通帳を紛失しても銀行に通知すれば大丈夫、ということ。そういう生活慣習代が進むと何が起きるのか? 銀行とおなじです。「倒産したらたいへんなことになる」ということ。そして「信頼のあるところに現金があつまる」ということ。

さてもう一方の、銀行側はどうやって儲けるの?という疑問。その答えも銀行はこう答えます。「預金者からあずかった資産を使って運用する」となる。それがたとえばiADということになります。預金者があずけている映像に広告をつけて配信する、この比喩は誤解の余地を含んでいますが、ま、そういう権利をアッフルは次のOSに付加してくるというわけです。

ソフトバンクが目下のところこの「代表的なクラウド端末」の日本での総代理店です。ソフトバンクはいうまでもなく日本の会社ですけれど、肝心の「バンク」の役割、つまり口座を管理しているのはアップルやグーグルやUStreamといった米国資本の企業ばかりです。パソコンより廉価なiPadが、実はそのための口座開設マシンであるという認識はあまり広くは認知されてはいません。

クラウドはまちがえなく便利です。そして安い。「自宅に山積みのホームビデオテープをすべてUStreamにアップロードします」というサービスはそのうちにどこかで始まるでしょう。ハードディスクを購入しないでどこかのサーバーに保存してしまう。大手クラウドサービスはいまは無料キャンペーン(?)で提供されていますので。これもクラウド笑。

で、その先にどういう未来が待っているかというと、いつしかそのビデオに映っている子どもたちが成人し、結婚披露宴のスクリーンで流れる思い出映像を、幹事さんがクラウドから上映する、そしてそのフッターに情報銀行の運用先の企業広告が入っているし、「そんなのはあたりまえ」といわんばかりに参列者たちは目を細めながら広告入り映像を見る・・・これがクラウド

この手のクラウド化が加熱し、その潮流の先にあるのは、いつのまにか、日本の、いや世界の情報がいくつかの大手の口座にすっぽりと格納されているという状況だとしたら・・・いつしか僕たち日本という国は米国資本配信の視聴側専用席に座っているのではないか、という表現側としてのいささかの不安を、すこしばかり感じてしまうところがあるのです。