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斎藤由多加のブログだよ

ロシアより愛をこめて2日目

モスクワでの生活は想像以上にひどい。
コンクリートうちっぱなしのホテルはつめたい風が一晩中ヒューヒューと吹き込むので、セーターとコートを重ね着しないとねむれないし、食べ物はろくに街にない。

▼政治に対する抗議文が街のあちこちに後を絶たない

街の建物は老朽化で壊れそうだし、通貨はほとんど意味をなさない。路上の人々は、ほとんど暴徒と化しておる。わたしが旅行者だとわかると、若い男たちに私を囲むように集まってきて、財布はおろか、カメラ、時計、すべて身ぐるみはがされるありさま。命があることが不幸中の幸いというべきなのか・・・。

▼店のあちこちには暴動の爪痕が残る

そういえば、このblogを書いていると、ホテルのイスがこわれた。外国人価格もあって一泊3万円もする一流ホテルなのに・・・社会主義国の経済というのはここまで深刻だったとはしらなかった・・・。帰国を早めた方がいいかもしれない・・

と考えはじめたところで目がさめた。
「夢か・・」

僕は、米国とは比べ物にならないほど清潔感あふれるダブルベッドの上で寝ていた。シーツのにおいが業務用ではない洗剤と太陽の匂いであふれている。まくらもとにはシャンパングラスがふたつ、Holiday Innというロゴ入りナプキンにつつまれてたたずんでいる。

「なぜふたつあるんだ?」

きづくと、僕の脇には金髪の美女がすやすやと眠っているではないか・・
「誰だ?」
そういいかけて、昨夜のバーでのできごとを思い出した。そうだ、彼女はロシア政府から特別に派遣されたエージェントだ。僕のアシスタントとして派遣された、まだかけだしの諜報部員である。

枕の下に手を入れると、冷たい感触。これは僕が愛用しているコルトではないぞ?そう気づいた時にはすでに遅かった。テコンドーをマスターした彼女はとうにぼくに馬乗りになっていた。

「じたばたしないで。あなたの銃はもう使い物にはならないのよ。弾はすべて昨晩使い切ったもの・・・」

唇をつぼめるようなロシア人特有の英語アクセントとともに彼女は僕に口づけをした。僕は大英帝国なまりの英語でかろうじてこうこたえた。

「はい、たしかに・・・」

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椅子が壊れた事実を除いて、ここに書かれたイメージは、すべてニュースと映画がもたらしている「ロシア」への先入観である。(やや古いけど)

でも、ロシアは、ぜんぜん違うものだった。要するに、ぼくはまだロシアのことはなにもわかっていないというのが今日の感想なのである。