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斎藤由多加のブログだよ

「手を抜いた企画」の意味・・・レベル5「ギルド01」参加のビデオにかけた想いとして

昨日と今日に開催されたレベル5さんのイベントで発表された「ギルド01」という4本のミニゲームで構成される作品にクリエーターとして参加している。

仮称で「エアポーター」というこのタイトルに関して、イベントで流すためのビデオで、けっこう今の時代に重要と思われることを発言したつもりなのだけど、残念ながらほとんどがカットされてしまったので、(このカットは必ずしも誤った選択ではないと思うが)、製品PRの意味も込めて、何を語りたかったのかについてこのプログですこし補おうと思うんです。話したかったことは、実は大切なことと思っているので。

さて、そのビデオの中で僕は、「いかに自分が手を抜くかを最優先にして企画した」と言ったんですね。これは奇をてらったのではなく本意です。仕事的背景がないわけではないが、でもいちばん大切なことは、(そのインタビューの中で説明したんですが)、実はユーザーが払う「ラーニングコスト」が小さい新規ゲームをつくりたい、という意味。

物語性とか世界観がバカみたいにでかくて、お金もかかってて、しかも新機軸で・・というゲームは、いまどきはなかなかつくれる環境ではない。なぜならユーザーが「どんなゲームか?」を理解するために相当な時間を費やす事になるでしょ。 これ、定価とは別にユーザーが負担しなければならないコストで、僕は「ラーニングコスト」と呼んでる。このラーニングコストは安ければ安いほど、いい。中身が浅いこととのジレンマにクリエーターは悩むことになるが、いずれにしてもこの考え方だけでもいまのコンシューマー業界に広まればいいなぁという想いをもってます。

お約束のRPGだったら、まだいいんです。世界観が違うだけでゲームそのものはだいたい同じですからね。でもそれじゃ新機軸にならないわけです。新機軸のゲームってのは、「このゲームはこうするとこうなる。これが面白いんですよ」って文脈構造がわかるまでに何分、いや何時間、かかるか、が問題になってくる。とくに最近はSNSゲーム儀主流になってきているから、コンシューマーは忍耐強くない。ライト性は普遍的に重要です。

今回のエアポーター(仮称)に関する説明では、テトリスがそうであるように、「あ、なるほどね」と、できればゲームを最初に立ち上げて1分以内にユーザーにルールを理解してもらえるものにしたかった、という話しをしたんです。そのために企画者がすべきことは何か?というと、たったひとつの切り口で、ゲーム性が成立するところまで至らせることなわけで、これすなわちミニゲームの極意なのです。企画をいろいろとてんこ盛りにして質を量でごまかしてはならん部位です。それを「いかに自分が手を抜くかを最優先につくった」という言葉で表現しました。(笑)

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レベル5さんの担当者は、若いけど熱意のある好青年で、この好青年が熱く誘ってくれたからこの仕事は引き受けたのです。でも一方で、やはり若いから当然なのですが、時期によって要望がいろいろとブレてくる。とくに今回のように一般公開した後とかにはね。こういうのはよくある話しで過去も何度か体験してきたんですけど、そういう時に、クリエーター側は「でん」とゆずらず、コンセプトを貫くってのがこの手の仕事ではとても大切です。

クライアントとかテレビ局の発言に影響され過ぎてこの一本のコンセプトを見失っちゃうと、それはCMでも小説でも映画でもすべておなじだと思うんですが、増改築のつぎはぎだらけの建築物になっちゃう。そうなっちゃうと目も当てられないわけ。ゲームでもこれはぜったいにやっちゃだめなんです。

ちなみにこの7月と8月が、クリエーターとしての僕は失業状態だったので、この期間ですべて企画が終了できる程度の「ハマれるゲームをかんがえろ」ってことになるんだけど、かなり難易度が高くておもしろそうだった。オムニバスってのは、予算も納期も、鉄板ですから。ちなみに開発は社長が信頼できる外部のとある会社さん。

ま、これは制作側の話。

結論的にいうとプレイヤーの印象として「ちょっと物足りない」くらいにいわれるのがベストと考えた。新機軸のミニゲームで「ちょっとものたりない」ってかなり得難い褒め言葉です。なぜかというと、そういえるまでプレイヤーはそのルールを完全に理解した、ということですからね。そうなったらそれを続編でたっぷりやりゃいい。てんこ盛りにしすぎて「よくわからなかった」という消化不良の事態こそが、ゲームクリエーターとしての僕の最大の敵、ということになるのです。

 

そんな思いで、「かなり自分を押さえて」つくったという意味で、新境地といえると思ってる。いや、むしろこれからの時代のキーワードだとすら思ってます。

そんなこんなで、このオムニバスにはヒットしてもらいたいし、プロとしては、その牽引を自分の作品が担いたいとは思ってます、いつも通りに。しかも、ニンテンドー3DSにはヒットしてもらわないとね。「日本の外貨獲得産業」の担い手ですから、任天堂は。

ちょっとかっこつけすぎたかな・・。