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斎藤由多加のブログだよ

右の眼球と左の眼球を入れ替えると立体は凹んで見えるか ~3Dテレビを体験しての考察~

「鏡に映った自分の姿は、左右は逆になるにもかかわらず、上下が逆にならないのはなぜか?」 という問題があります。

この有名なパラドクス(のようなもの?)についてはあちこちで多くの興味深い解説があるのでよんでいただくとして、結論としては「右と左」という方向感覚というのが、実はとても主観的で曖昧な代名詞だと気付きます。要するに、この問題は、実は「言葉」がなせる不可思議なトリックです。実は、左右は逆になどなっていない。そもそも、この「左右」という概念が上下とか東西とちがって、主観的なものである。もし人間の眼球が前上についていたら、左右などという概念は生まれてなかったにちがいない。

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先日、噂の3Dテレビのデモンストレーションに遭遇しまして、メガネをかけてその体験をしたのですけれどね。でも僕の興味はそんなこととは全然違うところにありまして参加しました。僕がそのデモ中に体験実験していたことは、3Dメガネを左右逆にかけてデモ映像を見たら、立体は凹んで見えるのか? などという、へんなことでした。これは、つまり僕の右の眼球と左の眼球の位置を、神経系統をつないだままも左右逆に配置した疑似体験というわけです。

実は僕は学生の頃からずっと疑問に感じていたことがあって、それは眼孔の中で眼球を回転させたら、世の中も斜めに見えるか???などというくだらないものでした。だってもしそうだとしたら、眼球移植する時に医者はCCDの設置なみに気をつけないと、左右で画像水平位置がくるっていたら大変ですからね。今回の実験もそれと類似するものです。ちなみに僕の仮説は、実は、眼球そのものには上下も左右も感知する能力などもってないのではないか、というものです。その確認実験の意味でもありました。

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学生時代に、布団の上で、天井を見たまま長いじかんずっと寝転んでいたことがあります。それをずっと続けていると、不思議なことがおき始めました。自分の右手がどこにあるか、自分の頭がどっちを向いているのか、わからなくなってくるのです。むろん体を動かせば、周囲との相対で位置感覚は一瞬で正常に戻るのですが。がわかった。だからもし無重力状態でぷかぷかと浮いていると(位置関係を伝えるすべての加速度情報を人間の神経系統から遮断するというこの実験ですね。John.C.リリー氏のアイソ レーションタンク実験みいたなもの)、上下、左右という感覚がなくなり、自分の右手と左手の区別がつかなくなってくるのではないか?なんてね。

で今回は、3Dメガネを左右逆にかけているうちに、右眼球と左眼球は従来の役割を突然失い、左右が中性化され、やがては本来とは逆の機能を果たし始めて、つまり3D立体がちゃんと立体として見えるように順応しはじめるのではないか、なんて実験ですね。

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結果としては、や はり立体として見え始めるんですね、逆立体として奥に引っ込んで見えるわけではない。じょじょに僕の大脳が両眼からの情報を修正しはじめるのです。ま、こ れは順応にかかる時間が結構必要な実験だと思われます。なので、メーカーが開催している5分程度のの屋外デモ実験では、確実な成果は得られたとは言いがたいですが、逆に、そのプロセスではちょっとしたトリッブ体験も併せてできました。

"ユーミンブランド"と いう、70年代に発売された荒井由実のベストアルバムでは(LPの時代)、ジャケットの一部が赤と青の3Dメガネになっていて、切り抜いて着用すると表紙 が立体に見える、という仕様になっていた。これも左右逆にかけてしばらく見ていると、不思議なことに立体が形成されてくるわけです。

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冒頭の鏡の話に戻りますが、上下は三半規管が決定する情報でしょうが、左右というのは相対的なものです。果たしてどこの器官が決定しているのか? ここには上下とは比較にならないくらい複雑な情報処理があるはず。だって左右だけは、上限(y軸)とも遠近(z軸)ともちがって外界からの指示情報がないんですよ。植物の発育には重力は不可とされていますが、国家が大予算をかけて、宇宙空間の無重力で種子の発芽実験などをやっているのはその確認の意味がある、それくらい、謎な分野です。では、資格を持たないこの「植物」という生物には、左右という認識はあるのか? これは、とても大きな問題です。左右というのはそれくらい人工的かつ主観的で不可解なテーマに思えるわけで、今回はパナソニックさんのおかげで、眼球はどうやらそんな情報をまるでもっていない、程度のことがすこしわかったのでありました。