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斎藤由多加のブログだよ

会話の「間(ま)」にかけるコスト

Skypeが普及したおかげで、国際電話をする人が激減した昨今、久々に長い国際電話をしました。

某国某メーカーの人らしいんですが、会った事もない初めて話す相手。もらってたメールの意味が不明で、これではらちがあかないから電話したのだけど、通話がはじまって30分をすぎたあたりから、「しまった」と思いはじめた。1時間を過ぎたあたりには相手の用件でバカ高い国際電話をしている自分が愚かにすら思えて来た。相手の意図がおおかた確認できたのでよかったという点ではよかったんだろうけどね。

ま、開発前の製品に関しては奥歯にモノのはさまった言い方しかできないわけですが、それにしても、「なんでメールでは相手の意図が確認できず、電話だとそれができたんだろう?」なんていう、ま、どうでもいいようなことを電話を切ってからしばらく考えたわけ。

で、電話で話してはじめて、その会話の「間合い」から本件が、この「奥歯にモノのはさまった言い方である」ことがわかったという話なわけです。「こっちのことははっきりいえないけど、あんたのことはいろいろと教えてほしいんだよ」という、実に不可解な質問をしている、という事実がね。

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無音状態だと録音が停止するレコーダーってのがあります。音に反応し録音を即座に再開する。
この手のレコーダーでの録音は、ですからセリフが数珠つなぎのようにつながっている。これが、画像圧縮や音声圧縮の基本原理でもあります。

さてこういうレコーダーで録音したものは、再生しても、いまひとつニュアンスがつかめない。質問に対して即答する「わかった」と、10秒間あけてから返事する「わかった」では、その意味がまるでちがうわけですからね。
人間は、この<空白>の意味を意味に変換する高度な頭脳を誰でも持っています。

警察無線のような半二重(両者が同時に話せない通話をこういいます)の音声通信は、「了解しました。どうぞ」(間) 「よろしくおねがいします」(間)といったように、この(間)が日常会話とは異なる不自然さを発生させます。どこまで理解してくれているのか、よくわからない。人間同士の会話で「間」というのは想像以上に大事です。


国際電話の話にもどりますが、話者が話をしていようが、黙っていようが、電話というのは回線を占有するわけで、だから料金がバカ高い。相手の吐息とか間、回答に悩んでいる時間、といった「情報でない情報」を割愛しないためのコストが、「国際電話」の価格とチャット系の違い、ということみたいです。

その点で、このうざくて長い国際電話は、もしかしたらかけた甲斐があったのかもしれない、という話です。