斉藤由多加 (Yoot Saito)
さいとうゆたか
 

東京生まれ。ゲームクリエーター/株式会社ビバリウム。ゲーム作品の代表作は「シーマン~禁断のペット」「大玉」「ザ・タワー」など。ゲーム作品の受賞歴としては、文化庁メディア芸術祭で特別賞、米国ソフトウェア出版協会でCodies賞、Game Developers' Awardsなど。 TheTowerDS が08年6月26日に発売予定 
 使用カメラ/ライカM8 愛用レンズNoktilux 50mm F1.2など

株式会社ビバリウムのサイトはすこしリニュアルしてwww.vivarium.jpに移動しました。
フォトアルバム

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RHAPSODY NAKED by RC Succsession

「発想の転換」なんてのは、ことば遊びみたいなものだと思っています。これはどういうことかというと、僕らの印象とか発想なんてのは、要するに「ことば」に縛られすぎているってこと。これはその証だと思います。
最近購入したRCの「ラブソディー"NAKED"」なるライブ盤を聞いて、そして興味深いライナーノーツを読んでてそう思ったという話。

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1980年代、ま、いわばレコードの全盛期みたいなもんですけど、アーチストが新作をライブ盤で発表するのはタブー視されていたわけ。ライブ盤ってのは音質や演奏品質が低く、ま、ひとつのファンサービスの企画モノ。正式な新曲をリリースするならスタジオレコーディング盤でなきゃ、というのは誰しもが同感していた。
当時、ライブでは爆発的なエネルギーを持つ新生RCサクセション。ブレイク寸前の予感は誰しも感じているものの、スタジオレコーディングしてもどうもいまひとつ。ライブ盤で出してはどうか?という話の前に、かならず、この「ライブ盤では新作は売れない」ということばが立ちはだかったという。

で、メンバー一同議論の挙げ句、「会場をスタジオに見立ててレコーディングしよう」ということになったというはなしです。観客を同席させた公開レコーディング・・。当時のディレクターが書いた名ライナーノーツを読んでて、すごいことを言い出したんだなと思った。だからジャケットにはライブという文字は一言も書かれずに発売されたそうな。たしかに、初めて聞いた時に「あれ?ライブ?」と思ったことを鮮明に思い出した。
ちなみに虎ノ門にあった久保講堂という小箱がその会場に選ばれたのは「急遽やることになった」からなそうな。笑 勢いがある時は、こういう「ありえない決断」をしてしまう力があって、やけにかっこいい。

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ちなみにこのライナーノーツは、CDジャケサイズでわずか5ページのものだけど、"鳥肌が立つほど"、それはまるで、えん罪の再審裁判で明かされる真証言ほど、の衝撃がある。ちょっとおおげさだけど。

ですので、かつて高校生の時に、童貞のの僕が胸を振るわせたRCの名盤「ラプソディー」は、実はライブ盤ではなかったわけで、その証拠に、コーラスやらボーカルやら演奏の一部は、録り直されていた、という事実もそこに書かれていた・・。

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そしてこの「ラプソディーNaked」は、当時の音源をそのまま、編集なしでリリースされた2枚組というわけ。1980年といえば、いまからちょうど30年前。終戦から数えて大阪万博の年が25年だから、30年といえばそれよりさらに長い・・ずいぶんとオレも生きてんだな・・。

このCDをかけながら、妻と調布や小金井方面へドライブにいったのであります。(RCといえば甲州街道ですからね) でもこれはドライブというよりタイムマシンに乗りにいった感覚とでもいいましょうか。
もう何百回も聞いた「ラブソディー」が、オープニングMCから曲順、音質にいたるまで、そして金子マリがゲスト出演していたという事実まで、オレが30年間知っているものとはぜんぜん違うライブじゃんか!!

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今月のイチ押しの本はこちらです

唐突ですが、今日の更新から「今月のイチ押し」というコーナーを新設することにしました。理由はとくにありません。
ということで、第一回はこちらです。青山ブックセンターの平積みから買ってきました。
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この手の昭和本を褒めるケースのほとんどは、いわゆるノスタルジーからくるケースが多いものですけれど、今回は違います。本書に取り上げられている製品のひとつひとつが、昨今の広告の技法だけでは打ち負かす事の出来ない存在感というか、オーラをもっている、のです。そこに感動したというのがオススメする理由。
まその意味では、この本が、というよりも、取り上げられているオリジナルの製品がすごい、ということになるでしょうね。それを感じとるための絶好の本。いわゆる「広告」のクリエイティブを評論する類いではありません。

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たとえば、以前にも触れたことがあるのですが、昭和40年代終盤のラジカセブームやベリーカードのブーム。この頃のラジカセというのは、今でいうiPodのような存在だったのではないかなぁ? いずれにしても中学生の僕にとっては、よくわからない専門用語も含めて、とても大人チックでカッチョいい存在でした。そういう憧れのメカの広告に夢中になっている自分までもが、むろんこれはすこし背伸びしているわけですけれど、そうしている自分自身がカッコいい、とまで思えてくるわけ。
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変身サイボーグというのも、テレビのヒーローキャラの人形遊びに飽きた小学生にとっては、科学メカっぽかった。でもこのシリーズでいちばん憧れていたのは、手に入れることはなかったけれど、ボタンを押すと彼らの声が再生されるという(製品名はおぼえていないけれど)へんな機械だった。オーディオ機械っぽい玩具ってのがそれまでにはなかったわけで、人形より遥かに大人っぽくてかっこ良かったなぁ。録音はできなかったけど、つまり使用目的はよくわからない機械だったけど。

ま、つまりそういう、男子にはやけに響く製品ばかりが本書では多く取り上げられていてたまらないわけですが、それは編者の方々が男性であるせいでしょうね。趣味的にも世代的にも自分と近い方々なのでしょうか。そのおかげでセレクションにムダがなく、それがなお良いのです。

残念なのは、任天堂の「ウルトラスコープ」と「光線銃SP」が入っていないことです。とくに「ウルトラスコープ」の当時のテレビCMはかなりかっこよくてですね、渋滞している車の席から少年が、この「ウルトラスコープ」で、他のイライラドライバーを差し置いて、道路の先方でなにが起きているかをチェックしてしまう、というだけのものですけど、それはそれは、男子にしてみれば、007なみにイカしたガジェットだったわけ。その広告、もういちどみてみたいなぁ・・などと感慨深くなったのであります。ちなみに任天堂を「花札の会社」と得意気に表現する40代が多いけど、すでに僕の時代の任天堂の製品は、「かなりハイテクでイカしていた」ぜ!? だからなおさら、あの広告がみたいわけで。(そういえば今日は新橋でMさんにご馳走になりました。なにか大きな賞をとられたそうでおめでとうございました)

広告コピーを振り返りながら時代性を俯瞰する、といった高尚(?)な目的の本ではなくて、どちらかというと雑多な広告図版を集めただけのものですけれど、その分、線の太い製品がずらり。今は大手になった企業も、はたまた名前すら聞く事がなくなった企業も、みな中小企業の勢いに満ちていて、それはちょうど、中小企業版の「ドラマ官僚たちの夏」といったところ。昭和の日本というのは、玩具も力強いなぁと唸らせてくれます。そんなのに比べたら、僕らのいるゲームの世界なんてさ、なんと線の細い広告しか打ててないことか・・。

ま、今日は疲れているのでとりとめのない更新となりましたが、今回からはじまった「今月の一押し」は、この「ちびっこ広告手帳2」なのです。1260円。もしかして、それでも若い諸君には「ノスタルジックな広告デザイン集」ととられてしまうのではないかなぁ・・。