T氏夫妻から万年筆のプレゼントがオフィスに届いた。
このクロス製のシルバーは、自分では買わないタイプのものだ。ある意味かなり新鮮である。
書き味も、自分が選ぶウォーターマンのペン先とはまったく違う、万年筆らしい羽根型ペン式。これまで僕が選んできたのは、たてよこの差が出ないペン先。だが今回のものはまさに「文字を書く」ためのものだ。
まだ新しいぶんペン先に水分がのこっていて、たてよこの太さの違い書きに半透明なインクの濃淡が加わる。するとそこに、独特な味のある字が現れる。いわゆる「万年筆の字」である。ちょっとうれしかった。
自分が選ぶものというのは、いつも同じようなものになってしまう。おなじ遺伝子が選ぶのだからしょうがないと思っている。だけど遺伝子を受け継がせるのはなにも子孫だけではない。未来の自分もその対象である。
人からのプレゼントというのは、それまでの自分からすこし変わるきっかけだったりする。遺伝子をちょっとちがうものへと組み換える役割りがある。遺伝子組み換えのメッセージ、なんてまさに「誕生日」にふさわしいメッセージかも。
もしかしたら、誕生日ってのは、古くなった自分の遺伝子を組みかえるためのイベントなのかもしれない、残された未来の自分のために。
だったら、これからは「その人らしいプレゼント」を選ばないようにしよう。
「未来のその人」、への架け橋を考えるようにしよう。
そしてその人のあたらしい遺伝子の一部になってしまおう。
もしそこまでいけたら本望である。






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